紀伊半島の環境保と地域持続性ネットワーク 紀伊・環境保全&持続性研究所
連絡先:kiikankyo@zc.ztv.ne.jp 
ホーム メールマガジン リンク集 サイトマップ 更新情報 研究所


 紀伊半島の河川湖沼の水質はどうなっているか      


 紀伊半島は全国でも多雨地帯であり、山地が多く、河川は流れが速く、清流が多いと言われています。河川や湖沼は、飲料水や農業用用水、工業用水などに利用され、また、生物をはぐくむ源でもあります。近年、水質規制が強化されたことによって、水質が良くなってきましたが、監視が必要です。水質の検査は、国や県等によって継続的に行われています。

 全国の一級河川の水質調査が国土交通省によって昭和33年から実施され、昭和47年からその結果が公表されています。

 紀伊半島を流れる一級河川は、鈴鹿川、雲出川、櫛田川、宮川(以上、三重県)、新宮川(熊野川)(和歌山県、三重県)、紀の川(奈良県〜和歌山県)、大和川(奈良県〜大阪府)の7つの河川です。

 平成16年の全国一級河川の水質現況が国土交通省から公表(河川環境管理財団HP)され、「河川毎に見ると、BOD値による河川平均水質の下位5河川は平成15年と同じであるが、過去、ワースト1位、2位が続いていた大和川が、BODが5.0mg/l以下に改善し、3位となっている」、また、「水質改善状況をBOD値の10年間の改善幅で比較すると、大和川が最も大きく(6.2mg/l)、以下、綾瀬川(埼玉県〜東京都)、牛淵川(静岡県)の順に大きかった」とされている。BOD値が5.0mg/l以下になるとコイやフナが生息できる水質であるとされている。大和川の水質改善のために、自然の力を利用する「瀬と淵」(近畿地方整備局HP)を人工的に作るなどの対策が採られている。水質の悪い河川は一般的に流域が都市化し、生活排水や工場排水が多く流れ込んでいる。汚濁物質の流入抑制と浄化の両面からの対策が必要です。

 一方、水質が良好な河川として、全国の平均水質ランキングが出されている。紀伊半島の河川のランキングは下記の通りです。
16年には1位 宮川(15年に1位)、44位 櫛田川(65位)、47位 鈴鹿川(26位)、47位 新宮川(96位)、81位 雲出川(51位)、136位 紀の川(112位)、164位(ワースト3位) 大和川(166位:ワースト1位)。以上のように、水質ランキングが平成15年よりも低下した河川は、鈴鹿川、雲出川、紀の川であり、上がったのは櫛田川、新宮川、大和川でした。

 2級河川を含めた河川、地下水、海の水質について、三重県 では公共用水域および地下水調査で県、国土交通省中部地方整備局、国土交通省近畿地方整備局及び四日市市が分担し、継続的に測定し、その結果をインターネットで公表しています(三重の環境と森林HP)。奈良県では水環境の現況を公表しています(奈良県エコならHP)。和歌山県では「和歌山県の環境」の中の「水環境の保全」で水質の推移を公表しています。

(用語解説)
BOD
 
BOD(Biochemical Oxygen Demand)とは、生物化学的酸素要求量を意味し、これは水の中の汚れの原因である有機物を微生物(好気性微生物)が分解するのに使われた酸素の量を示しています。BODの値が高いということは、水中の有機物の量が多く、それだけ有機物を分解するのに必要になる酸素の量も多いということです。

COD

 COD(Chemical Oxygen Demand)とは、水中の有機物等を過マンガン酸カリウム(KMnO4)または重クロム酸カリウム(K2Cr2O7)で化学的に酸化するとき消費される酸化剤の量を示し、これを対応する酸素量で表したものです。BODと同様にCODの値が高いということは、それだけ水中の有機物の量が多いことを示します。


「地域の環境を守り活かす」へ
「ホーム」へ